腰痛と歩行・自転車
歩行が身体に良いということはよく言われますが、多くの場合は有酸素運動として、そして脚の筋力維持の手段としてとらえられています。
しかしもっと重要な意味があります。
人間の骨盤は二足歩行に適した形をしていない。だから腰痛になるんだという理論をたまに聞きますが…これ大きな間違いです。
そうではなく、直立して二本足で長距離を歩き続けたことで人間の骨盤は今の形に進化したのであり、二足歩行に適していないどころか最適な形をしているのです。


きちんと歩き続けることで、骨盤にある仙腸関節という関節が正しい動きをしてくれるようになるので、これがまず腰痛を解消してくれます。
更にそれに伴い、尾骨(尾てい骨)のすぐ上の、仙骨という骨が尾を振るような形で左右に均等に動きます(写真の赤丸で囲んだ部分が仙腸関節、左右の赤丸の間にあるのが仙骨です)。
すると 、仙骨の上に乗っている背骨(頚椎・胸椎・腰椎)も左右に揺れ、その微振動により背骨の動きの支点になる23個の髄核が正しい位置に納まります。
そう!
しっかり歩くということはそれだけで骨格調整になるのであり、本来、歩くことでゆがみを修正できるように、人間の身体はできているのです。
しっかり歩くことで人間は今の骨格を得たわけですが、このまま歩かない生活を続ければ、いずれそれに適応した骨格に変わっていくことでしょう。
今の10~20代の人達の体つきを見ていると、既にその兆候が出ているように思えます。
さて、仙腸関節は一般的にイメージされる関節の形ではなく、平面同士が密着している関節です。
きちんと密着していれば正しい動きをしてくれるのですが、緩んで分離状態になったり、あるいは逆に食い込みすぎて固着してしまうと正常な動きができなくなり、腰痛だとか坐骨神経痛になったりします。
更にです、こうした整形外科的な症状の他に、内科的な疾患の原因になったりもするんです。
左側が緩むと消化器系や生殖器系に影響が出ますし、右が緩むと心肺系がやられます。
左右とも緩むと喘息の原因になることもあります。
生理痛のひどい女性が左の骨盤を調整してもらったら、一発で良くなったなんていうケースもあったりするからあなどれません。
さて、有酸素運動として、そして下半身を鍛える手段としても利用されるツールとして自転車があります
腸腰筋という筋肉が鍛えられるので、その意味では腰痛対策にもなりえます。
が、しかしです。
自転車のサドルに座っている状態というのが、まさに仙腸関節を分離させる力が働く形なんですね。
競輪選手、それもトップ中のトップのS級の選手達の話なのですが、直立姿勢をほんの数分も保つことができずに座り込んでしまうのだそうです。
あんなに発達した大腿と軽い身体を持っているというのに…
仙腸関節が分離していると膝から下の筋力が弱化(正確に言うと筋力が発揮できない状態になる)するので、こんなふうになってしまうのですね。
そういいう状態の人の骨盤をきちんと調整してあげると、症状が軽減or解消されるし、何より本人が「足に力が入るようになった!」と言ってくれます。
しかし、指導者やスポーツトレーナーにはこうしたことをわかっていない人も少なくなく、こういう選手達に対して、「おまえはふくらはぎが弱いからもっと鍛えろ!」とこの部分を鍛える筋トレをガンガンやらせてしまいます。
でも筋力が発揮できない状態にあるわけですから、いくら鍛えても効果は出ない。
すると「鍛え方が足りないから、もっとやれ!」と指示し、遂には選手を壊してしまう…
こうした由々しき事態は何とかしていきたいものです。
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